秋の深まりを感じる10月の土曜日、宇都宮美術館講義室に於いて8回目となる「美術講演会 館長講座」が開催されました。ルーブル美術館や大英博物館に収蔵されている3つの至宝について映像を見ながら特有の時代背景や発見後にたどった数奇な運命について解説をいただきました。
1 ロゼッタストーン
1799年にナポレオン率いるフランス軍がエジプトのロゼッタで発見した石碑。イギリスに海戦で敗れ1801年に降伏講和の条件の1つとしてロゼッタストーンがイギリスに譲渡され、現在は大英博物館の所蔵となっている。
2 エルギンマーブル
1801-12年にかけてイギリスの外交官大使エルギン伯トマス・ブルースが、アテナイのパルテノン神殿レリーフを剥がして持ち出した。しかし、輸送船が嵐で難破、エルギン伯の私費で引き上げイギリスへ。1816年イギリス政府が買い取り大英博物館の収蔵品となった。
3 ミロのヴィーナス
1820年4月8日エーゲ海のミロス島で地元農夫が発見。フランス海軍の高級将校がその価値を認め駐トルコのフランス大使がトルコ政府から買い上げた。国王ルイ18世がルーブル美術館に寄付し現在に至る。
時代の潮流、権力者のとてつもない富み・・・
まさに数奇な物語、目から鱗の時間でした。
(発見部)
令和7年3月16日(日)文星芸術大学学長で西洋美術史の第一人者である 田中久美子氏をお迎えし、「フォンテーヌブロー宮殿で花開いた美術」と題して美術講演会が開催されました。仲春の冷たい雨の降る日曜日でしたが、美術に関心の高い方々が多く詰めかけられ、大盛況となりました。
フォンテーヌブロー宮殿は歴代のフランス国王たちが狩猟に興じてきたおよそ2万5千ヘクタールにもおよぶ広大な森と泉に囲まれた美しい城館です。
フランソワ1世は幾度かのイタリア遠征で、イタリアの文化と芸術に強い関心を抱くようになり、レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめとする多くのイタリアの芸術家を招聘し、フランスルネサンス芸術を華やかに開花させました。その中心となったのがフォンテーヌブロー宮殿です。とりわけ芸術活動の中心となった二つの要因があります。ひとつは、フランソワ1世のギャラリーです。もうひとつはフランソワ1世が収集した美術コレクションであり、これらは現在のルーブル美術館のイタリア絵画コレクションの根幹をなしています。フォンテーヌブロー宮殿は続くフランス人美術家たちの聖地となって、フランス美術の礎を築いたのです。フォンテーヌブロー宮殿が営んだ美術の活動について、A3判用紙4ページにわたる資料が配布され、丁寧にわかりやすくお話しいただきました。最後に、現在でもフォンテーヌブロー宮殿が営んだ美術の活動の実態は明らかにされておらず、また何を育んでいったのか、そしてその探求に終わりはないことを付け加えて結びとなりました。
(発見部 藤田 洋)
童画家、やないふみえさんの作品を鑑賞しました。
「童画」というと子どもたちに向けた作品のように思っていましたが、大人にとっても見る者の心を温かく包み込み、ほっとするような安心感を与えてくれます。
明るい色彩の使い方が印象的で、まるで夢の中を旅するような気持になりました。
やないさんの作品は、日常の中で見逃してしまいそうな幸福や感動を拾い集め、単に美しさだけではなく、心の豊かさや感性を磨く機会を与えてくれました。
小さな喜びや美しさに気づき感じ取る、貴重な体験になりました。
(発見部)