展覧会紹介
宇都宮美術館開館20周年・市制施行120周年記念
「石の街うつのみや――大谷石をめぐる近代建築と地域文化」
今からおよそ1,500万年前、わが国は海の底でした。海底火山が盛んに噴火し、その際に水中で噴出した大量の軽石流は、堆積してから長い時間をかけて岩石となりました。それが、北海道から山陰にいたる日本海側、内陸部の北関東、甲信越地方から伊豆半島にまたがるエリアに分布する「緑色凝灰岩」です。この「岩石」は、それぞれの地域の人々が利用することで「石材」となり、宇都宮近郊に産するものは「大谷石」として知られてきました。
大谷石の利用は、古くは縄文時代にさかのぼりますが、石の採掘を生業とする人々が現れたのは、江戸時代になってからです。その後、石を採る、彫る、運ぶ、使う「産業」が確立されたのは、「石の街うつのみや」が近代都市として発展をとげた明治年間から大正時代にかけて、そして大谷石を用いた「近代建築」が宇都宮や他の地域に登場したのは、大正末期から昭和の初めのことでした。特に、アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが手がけた「旧・帝国ホテル ライト館」は、「鉄筋コンクリート造・大谷石張り」という「新しい工法」により、この建物が竣工した1923(大正12)年の関東大震災に耐えたため、土木・建築・都市計画の領域で注目されました。画期的な工法が導いた「新しいデザイン」が、同時代以降の建築家に与えた影響も多大なものがあります。
そのような歩みを経てきた「大谷石」について、本展では、
●地質・歴史(序章)
●産業・建築(第1章)
●美術(第2章)
の観点から探ります。「地質・歴史」では、それが「どのような岩石なのか」を分かりやすく示し、「産業・建築」においては、大谷石が「地域産業としてどれほど発展を遂げたか」「日本の近代建築史にどのような意味を持つのか」を詳しく分析します。さらに、「美術」では、この石を産する「大谷」を、美術家たちが「どのように捉えたか」に関して、多様な表現の作品によって紹介します。
展覧会の見どころや関連事業の詳細、関連トピックスについては、ヴィジュアルなショート・エッセイとして「ニュース」欄で綴っていますので、ご一読ください。また、動画は YouTube 内の公式チャンネルをご覧いただければ幸いです。
展覧会図録については、こちら及びミュージアム・ショップの紹介ページをどうぞ。
会期
2017年1月8日(日)~3月5日(日)
開館時間
午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日
毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
観覧料
一般600円(480円)、大学生・高校生400円(320円)、中学生・小学生200円(160円)
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介護者(1名)は無料
※宇都宮市在学または在住の高校生以下は無料
※毎月第3日曜日は「家庭の日」です。高校生以下の方を含むご家族で来館された場合、観覧料が一般・大学生は半額、高校生以下は無料
主催
宇都宮美術館 http://u-moa.jp/
下野新聞社 http://www.shimotsuke.co.jp/
特別協力
大谷石材協同組合 http://ooya-stone.jp/
大谷石内外装材協同組合 http://ooyaishinaigaisou.com/
大谷石研究会 http://www.ooyaishi.org/
大谷石産業 http://www.ooyaishisangyo.com/
協力
宇都宮大学農学部 地質学研究室 http://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/plaj/Labo/Geology.html
後援
宇都宮商工会議所 http://www.u-cci.or.jp/
宇都宮まちづくり推進機構 http://www.machidukuri.org/