TOPICS001:《牛乳石鹸モンサヴォン》をめぐるエピソード その①――サヴィニャック登場 02.04.2018

本展の主役であり、展覧会概要のなかで、そのキャリアについて少しばかり触れたレイモン・サヴィニャック(1907年、フランスのパリ生まれ。2002年、トゥルーヴィル=シュル=メールにて逝去)は、和暦で記すと、明治末期(明治40)に生まれ、平成半ば(平成14)まで存命だった息の長いポスター作家です。商業美術(今日のコミュニケーション・デザイン)の世界に飛び込んだのは、コレージュ(フランスの4年制中等教育機関)を15歳で中退し、その翌年にパリ地域公共交通公団STCRP。現・パリ市交通公団)の見習い図案画工になった時でした。1923年(大正12)のことです。以来、「生涯現役」の作家として活動を展開しますが、本当の意味でのデビュー、すなわち独自のスタイルを確立し、名立たるクライアントのために、世間的にもデザイン史においても注目されるポスターを発表したのは、実のところ40歳を超えてから。それが、本展の当館宣伝物でシンボル的に用いている「モンサヴォン石鹸の“牛”」に他なりません。サヴィニャック自身は後年、デザイナーとしての出自について、「モンサヴォンの牛のおっぱいから生まれた」と語っていますが、この名作ポスター《牛乳石鹸モンサヴォン》(1948/1950年)には、興味深いエピソードが隠されています。そこで、「トピックス」第一弾は、本作品をめぐるお話を、何回かに分けて綴りたいと思います。(時折、展覧会に関する「ニュース」で中断される場合もあります。ご了承ください。)

※サヴィニャックの詳しい生涯年譜は、こちらをご覧ください。

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