TOPICS020:見どころ紹介+ショップ情報 その④ 31.05.2018

ボンジュール!皆さん。梅雨入りも間近い5月末日となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
前回の「見どころ紹介」では、「壁に多数のポスターが並ぶ空間」に変化をもたらす「展示ケース」に目を向けたので、引き続きその中身を取り上げたいと思います。

まず、4期にわたって「めくり公開」を進めている2冊のスケッチブックのうち、大きい方(左側)は、最晩年に手がけた肉筆の仕事を確認できる点で、きわめて貴重です。但し、テーマが多岐に及び、必ずしも最初のページから順を追って使ったわけではなく、別の紙に描いたスケッチの貼り込みや、裏表紙側から逆さまに使われた形跡、途中に空白のページも見られるため、年代には幅があります。そのなかで、3期目の現在展示中《「ガリアの雄鶏大統領と一緒のジャン・ピエール・シュヴェーヌマン」スケッチ》(より正確に記すと「ジャン=ピエール・シュヴェーヌマンとフランスの象徴・ガリアの雄鶏」スケッチ)、

並びに第4期(6月7日~6月17日)に公開予定の《「マリアンヌ大統領と一緒のジャン・ピエール・シュヴェーヌマン」スケッチ》「ジャン=ピエール・シュヴェーヌマンとフランスの象徴・女神マリアンヌ」スケッチ)は、2002年4月頃の制作と推測されます。この年、フランスでは大統領選挙が行われ、第一回投票(4月21日)の候補者の一人がシュヴェーヌマンでした。サヴィニャックの逝去が同年の10月29日だったことを鑑みると、まことに感慨深い作品と言えるでしょう。

同じ展示室内の別コーナーにおいては、「パリの街角のポスター掲出」を思わせるランダム展示を試み、壁の手前のケースは、繁華街のショー・ウィンドーに見立てました。すなわち、サヴィニャック自身が指摘した「ポスターは賑やかな市井で見るもの」という境地に少しでも近づけるべく、作品の高さや間隔に規則性を持たせず、見づらくならない程度に自由な配置としています。

また、概してショー・ウィンドーよりも大きかったフランスのポスターの華やぎと、これらから派生した小さなノヴェルティの持つ意味、その魅力を、「高い壁と小ぶりのケースの関係」で見せる工夫を図りました。なお、今日のコミュニケーション・デザインの場合、特定の商品、ブランド、企業などのグラフィックは、ロゴマーク、書体、カラー・スキーム、キャラクターその他が、厳密なルールによってトータルに管理されていますが、サヴィニャックの時代、とりわけ彼の仕事では、非常にゆるやかです。従って、ノヴェルティのデザインに、どこまでサヴィニャックが関与したのかは定かではなく、事例によっては、明らかに「après Savignac」(サヴィニャックに基づく)と記されているものもあれば、別の手で「デザイン展開された」と感じられる作品も存在するのです。


とは言え、ボールペンの「BICに関しては、サヴィニャックの原画、ポスター、そのヴァリエーション、ポスターから誕生したキャラクターには、トータル・デザインやCI(コーポレイト・アイデンティティ)の原初的なあり方が窺われます。

ノヴェルティこそ「après Savignac」であることがはっきりとしていますが、作家とクライアントによる統一的なイメージ戦略の成功を称えて、このコーナーでは、それが一目瞭然となる展示を実現しました。

そして、サヴィニャックの思想・実務・人柄――その生きた姿と創造を知っていただくために、二つの展示室をつなぐ「中央ホール」では、ドキュメンタリー映画「街路の人 サヴィニャック」(Savignac, homme de la rueを上映中。冒頭で紹介したスケッチブックと同様、彼の人生では最晩年の1986年(78歳)に封切りとなった見応えのあるフィルムで、壁に掲出したポスター、ケースに入れた作品・資料、これらに付した解説とキャプションとは違う観点で、皆さんに多くを語りかけてくれます。(監督=ダニエル・コスト=ランバール、助監督・インタヴュー=ダニエル・コスマルスキ、制作=アンナ・プロダクションズ、上映時間25分)
※展示室内で配布している出品作品リストは、こちらからダウンロードできます。

[本展グッズのご紹介]
ミュージアム・ショップから今回は、「飲食」にまつわるサヴィニャック・グッズ2点を紹介いたします。

●森永ミルクチョコレート(ポストカード付き):税込1,100円
文字通り《森永ミルクチョコレート》のポスター図案に包まれた小粒の板チョコが9枚、これにポストカードを添えたセット商品で、チョコは森永製菓謹製のホンモノの味。ちなみに同名のチョコは、1918年(大正7)に初めて発売、今日に至るロングライフ製品として知られています。

ガラス製ジョッキ:税込1,296円
《ブリュナは温まるビール》のポスター図案に基づくジョッキで、このビール(現「AMAブリュナ」)のようなエール系はもちろん、他のタイプのビール、ソフトドリンクにも打って付け。季節的にも、ぜひ手にしていただきたい商品です。(注)イメージ画像の「飲み物」「星空」は付きませんので、ご了承ください(笑)。

宇都宮美術館ミュージアム・ショップでは、サヴィニャック展の公式図録・グッズのほか、ショップ内の取り扱い商品を、
※通信販売+全国配送
いたします。
詳しくは、下記までお問合せください。
直通TEL.028-666-8585
E-MAIL:utm_ms@icloud.com

この記事がお気に召したら「いいね!」をどうぞ。