ロマネスク
宗教改革が起こる以前のキリスト教(ローマ・カトリック教会)を基盤とし、11世紀~12世紀前半にヨーロッパ各地に広まった西洋中世の建築・美術様式を指します。フランス、イタリアが中心となり、ドイツ、スペイン、イギリスでも発展を遂げました。イギリスの建築様式はノルマン(アングロ・ノルマン)と呼びます。
教会建築は、内陣、翼廊、身廊で構成される十字架形平面(バシリカ)、切石積の工法・構造、高いヴォールト天井が確立され、半円アーチの多用、素朴な図案・表現の石彫装飾を特徴とします。聖堂の東端部(ヨーロッパから見てエルサレムの方向)に内陣を置き、玄関のある西側を記念碑的な多層構造とし、塔屋(多くは双塔)が築かれるようになったのもロマネスクです。内部空間は全般的に静謐で重厚感が溢れます。
ロマネスク・リヴァイヴァル
復興様式としては、ドイツのルントボーゲンシュティル(19世紀前半)、イギリスのノルマン・リヴァイヴァル(同)、アメリカのロマネスク・リヴァイヴァル(19世紀後半~20世紀初頭)が挙げられ、城館、学校、駅舎など世俗の建造物でも採用されました。
マックス・ヒンデルの教会建築は、ロマネスクを基調とするものが多いですが、純然たる復興様式というよりは、日本の風土に合致させ、近代工法も採用し、自身の建築思想に則るスタイルを呈します。
学びを深めるための参考文献
Léon, Paul. (1915) Encyclopedie des styles: première série, l’art Roman. Paris: R. Ducher.
Fletcher, Banister; Fletcher, Banister Flight. (1921) A History of Architecture on the Comparative Method: For Students, Craftsmen, and Amateurs. (6th edition) London: B.T. Batsford.