朝から降っていた雨が止み、靄の夕暮れとなった11月19日(土)の夜、本展の「先行関連事業」の三回目となるファミリー・コンサート「大谷石に刻む永久の響き」
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が開催されました。
宇都宮市文化会館×宇都宮美術館 連携企画
ファミリー・コンサート「大谷石に刻む永久の響き」概要
[日時] 2016年11月19日(土)午後5時30分(開場・午後5時)~午後7時30分
[会場] カトリック松が峰教会聖堂
[出演] 井上雅人 氏(バリトン、司会)、金持亜実 氏(ソプラノ)、金沢青児 氏(テノール)、河野 彬 氏(フルート)、伊東真奈 氏(ヴァイオリン)、須賀麻里江 氏(ヴァイオリン)、山口 真 氏(ヴィオラ)、森田叡治 氏(チェロ)、平塚拓未 氏(コントラバス)、村尾芽衣 氏(チェンバロ)、橋本優子(宇都宮美術館 主任学芸員、ミニ・レクチャー)
[参加人数] 200名(無料聴講券を事前配布、全席自由、未就学児の入場可)
[内容] 大谷石を用いた名建築「カトリック松が峰教会聖堂」(竣工1932年)に於ける小編成の管弦楽と声楽によるクラシック・コンサート
プログラム
[前半]
1. シャルル・グノー「ヨハン・セバスティアン・バッハの前奏曲第1番に基づく瞑想曲」
(グノー=バッハの「アヴェ・マリア」)
2. フランツ・シューベルト「エレンの歌Ⅲ」 D.839, Op.52, No.6
(シューベルトの「アヴェ・マリア」)
3. ジュリオ・カッチーニ(偽作)「アヴェ・マリア」
(カッチーニの「アヴェ・マリア」)
4. ヨハン・セバスティアン・バッハ「管弦楽組曲第2番 ロ短調」 BWV1067
序曲~ロンド~サラバンド~ブーレⅠ・Ⅱ~ポロネーズ~メヌエット~バディヌリー
5. ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル「オラトリオ『メサイア』」 HWV56、第2部より
「尋ねて見よ」「ああ麗しいかな」「なにゆえ、もろもろの国びとは」
[休憩]
[後半]
6. ヨハン・セバスティアン・バッハ「おしゃべりはやめて、お静かに」 BWV211
(バッハの「コーヒー・カンタータ」) ※日本語・ドイツ語版
叙唱~アリア~叙唱~アリア~叙唱~アリア~叙唱~アリア~叙唱~三重唱
[アンコール]
ヨハン・セバスティアン・バッハ「教会カンタータ『心と口と行いと生活で』」 BWV147より
「主よ、人の望みの喜びよ」
教会の石と世俗の歌が奏でるハーモニー
前半は、バリトン(グノー)、ソプラノ(シューベルト)、ソプラノ+フルート(カッチーニ)と旋律を奏でる演奏者が交替する「三大アヴェ・マリア」、続いて小編成のバロック管弦楽で、フルートが大活躍するバッハの「管弦楽組曲第2番 ロ短調」、これに声楽(ソプラノ、テノール、バリトン)が加わって、ヘンデルの「オラトリオ『メサイア』」 から3曲。休憩後の後半は、日本語のレチタティーヴォ(台詞的な歌)とドイツ語のアリアによるバッハの軽妙な「コーヒー・カンタータ」が上演されました。演奏の合間には、聖堂の建物について、楽曲や楽器に関する解説もふんだんに盛り込まれ、建築と音楽、西洋の中世(ロマネスク)・近世(バロック)と地域の近代(昭和初期)、聖なる世界と世俗の悦びが出会う充実の夕べとなりました。盛大な拍手を受けてのアンコール曲は、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」――石と建造物、芸術や精神世界は、生きた人々によって輝きを与えられ、それを永久に持ち続けることを実感させられたコンサートを締め括っています。