企画展

視覚の共振・勝井三雄
visionary ∞ resonance: mitsuo katsui

2019年4月14日[日] ー  6月2日[日]


人が人へ情報を伝える、それを不特定多数で共有する、そして世界共通の命題を解決するために役立つコミュニケーション・デザインの歴史は、19世紀に遡ります。人々の生活をより良くし、未来を拓く道具、空間や都市をテーマとする他の領域も同様です。モダニズム(近代主義)の確立、二つの世界大戦、地球環境に対する意識の高まりなど、私たちの暮らし・生き方を変貌させる出来事が次々と起こった20世紀は、デザインがいっそう身近になりました。デザイナーの活躍の場も広がり、その役割が重要となったのは言うまでもありません。

こうした背景を踏まえ、激動の時代を経験してきた勝井三雄(かついみつお)は、常に世の中とデザインの動き、現在の有り様に鋭い視線を注ぎ、明日を見据える創造的な挑戦を60年余にわたって続けています。グラフィック(ポスターなど)、エディトリアル(書籍・雑誌・図録など)、CI(コーポレイト・アイデンティティ)を中心に、サイン、ディスプレイ、空間構成ほか、多様な媒体のアート・ディレクター(AD)を務めるなかで、領域の枠組みにとらわれることなく、デザインの理論・表現について、その可能性と普遍性を模索してきたのです。すなわち、状況にふさわしい視覚伝達を介して、物事の本質に触れるスムーズなコミュニケーションがどれほど人々の相互理解を促し、生活、文化、社会、環境を充実させることができるか、その優れた手段・取り組みの提案こそが、勝井三雄の仕事の根幹にあります。

本展は、まず「時代」に焦点を当て、今日に至るデザインの社会史と、国内外のデザイナー、写真家、美術家、建築家、音楽家、評論家、編集者、小説家、科学者、民族学者ら、勝井三雄が影響を受け、協働した人々とのつながりを示すところから展示が始まります。続いて、ポスターや映像など「色と光」の分析・実験・展開に基づく作品群、小冊子のエディトリアルから国家的規模の博覧会ディスプレイまで、あるいは企業・学校・文化施設の存在意義を体現するCI、地球を俯瞰するインスタレーションなど「情報の編集」に係る業績の集大成を紹介します。

未発表の資料、最新作も含む今回の展示は、空間構成そのものが勝井三雄の総合的なディレクションにより、「なぜ人間はヴィジュアル・コミュニケーションを必要とするのか」を体感的に考えるための場となります。長年にわたり宇都宮美術館のCIを推進してきた勝井三雄の活動を通じて、当館が主眼とする「20世紀のアートとデザイン」を視覚伝達の観点からひもとく手がかりにもなるでしょう。――デザインは、単なる色とかたちの描出、その成果物ではありません。時代・人々・空間と共振する思想であり、これを実践的に構築し、質の高い可視化を担うのがデザイナーの役割です。勝井三雄のすべての仕事には、そのことが凝縮されています。

開館時間 午前9時30分 ~ 午後5時 (入館は午後4時30分まで)
休館日 毎週月曜日
※4月29日(月)と5月6日(月)は開館
観覧料
一般 800円(640円)
大学生・高校生 600円(480円)
中学生・小学生 400円(320円)
※( )は20名以上の団体料金
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介護者(1名)は無料。
※宇都宮市在学または在住の高校生以下は無料。
※毎月第3日曜日(5月19日(日))は「家庭の日」です。
高校生以下の方を含むご家族が来館された場合、企画展観覧料が一般・大学生は半額、高校生以下は無料。
主催 宇都宮美術館
特別協力 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科、武蔵野美術大学 美術館・図書館、勝井デザイン事務所、中野デザイン事務所
展示協力 池田20世紀美術館、凸版印刷、モリサワ、公益財団法人DNP文化振興財団、山田写真製版所、遠藤 豊(Luftzug)、小野田裕士
出版・編集協力 光村図書出版、大原哲夫(大原哲夫編集室)、髙橋律夫
後援 日本グラフィックデザイナー協会
関連イヴェント スライド+フロア・レクチャー「視覚の共振・勝井三雄」の展示デザイン
2019年4月28日[日] 午後2時(開場:午後1時30分)~午後4時
スライド+フロア・レクチャー「伝承のまなざし」
2019年5月19日[日] 午後2時(開場:午後1時30分)~午後4時
記念講演会「共振する視覚」
2019年6月2日[日] 午後1時30分(開場:午後1時)~午後3時30分
担当学芸員によるギャラリー・トーク
企画展会期中の土曜日午後2時~

[勝井三雄 略歴]

1931年、東京・日本橋に生まれる。
55年、東京教育大学(現・筑波大学)教育学部芸術学科卒業。
56年、同大学・構成学専攻科(大学院)修了、味の素広告部制作室に入社。
58年、第8回日宣美展に出品、日宣美賞を受賞。
61年、フリーランスとなり、勝井デザイン事務所を設立。
63年、東京オリンピック組織委員会デザイン室に参加。
66年、東京造形大学デザイン学科助教授に就任。
70年、大阪万博で日本館3号館「統計の森オルゴラマ」、講談社『世界一大きい絵本』のADを務める。
72年以降、国立民族学博物館の開設準備に携わる(開館77年)。
75年、沖縄海洋博で大壁画制作《海の大絵巻》のADを務める。
85年、つくば科学博『オフィシャルマップ』、講談社「ブレインハウス」のADを務める。
86年、大阪花博シンボルマーク指名コンペで採用となる。
87年、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科客員教授に就任。
93年、同大学・同学科主任教授に就任(~2002年)。
2007年、文部科学省のシンボルマーク、デザイン・マニュアルを制作。
09年、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会長に就任(~12年)。
15~16年、東京オリンピック・パラリンピック2020エンブレム委員会のメンバーとして選考に携わる。
現在、AGI会員、武蔵野美術大学名誉教授、JAGDA理事、東京ADC会員。

※「視覚の共振・勝井三雄」展の広報物において表記の誤りがございました。
深くお詫び申し上げますとともに、下記のとおり訂正させていただきます。
[ポスター、チラシ表面]
開館時間・・・(正)9:30-
[チラシ裏面]
5月19日 レクチャー講師・・・(正)寺山祐策氏(武蔵野美術大学教授)