自由学園 講堂
1927年(昭和2)に竣工した「自由学園 講堂」
http://www.jiyu.jp/tatemono/kodo.html
は、キリスト教の信仰を通じて、この学校の創設者である羽仁吉一・もと子夫妻と親しくなった遠藤 新(1889~1951年)の設計によります。言うまでもなく遠藤は、フランク・ロイド・ライト(1867~1959年)を敬愛してアメリカへ渡り(1916年)、その二年後に帰国してからは、ライトの片腕として、師が手がけた日本国内に於ける建築の実現に向け、惜しみない情熱を注いだ人物に他なりません。
前回ご紹介した「自由学園 明日館」とは、道を隔てて向かい合い、やはり大谷石をポイント的に用いた国の重要文化財として知られています。
修復中の講堂を訪ねて
この建物は、これまで何度も大掛かりな修復工事が行われ、二年前の秋以降は耐震補強工事に入ったので、しばらくの間は休館中です。しかし、このたび自由学園明日館のご厚意・ご協力により、今回の展覧会で重要なテーマと位置づけている「昭和戦前の近代建築に見る大谷石」の調査・研究のために、特別に工事現場
https://www.facebook.com/koujinikki/
を見学させていただきました。
もちろん工事に入る前の状態でも、遠藤が唱えた「三枚おろし」(開口部付近に下がり壁を築いて梁を通し、大きな天井構造を生み出すロー・コストの効果的な空間づくり)の手法を確認できましたが、現場では、その詳細をつぶさに見て取ることが叶いました。そして何よりも、本展の主役となる「石たち」の使われ方、年数を経たその「顔つき」がどのようなものなのか、これらの実見については、心から学園に感謝を申し上げます。
美しい石の断面
さらに、自由学園明日館を通じて、文化庁その他にも許可をいただき、設置から約90年を経た礎石がどれほど変化したのか、それともしていないのかを学術的に知る目的で、手掘りの跡が残る一点をお借りし、この石が生まれた「石の里」へ持ち帰ったのです。
やはり展覧会に特別協力をいただいている大谷石産業
http://www.ooyaishisangyo.com/
にお願いし、田野工場で慎重に泥を落とし、不要な傷を付けないよう気を使いながら、ダイヤモンド・カッターで切断。この名誉ある「研究のための処置」をお願いした職人さんは、以前に「明日館」の修復工事に携われた方で、水洗いと乾燥後、採掘して間もない石に劣らないフレッシュな断面を呈することに驚かれています。
その後、美術館に運んで撮影し、これから文化財としての燻蒸を行い、来年1月8日から本展
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のなかで一般公開いたします。ぜひ、ご高覧ください!