展覧会図録のご紹介

今回は、展覧会の図録もまた、

「石」に捧げる「石」をかたどったもの

として制作したことを先の投稿で触れましたが、このことについて、少し詳しく紹介したいと思います。

石材・採掘道具と展覧会図録(表紙) 撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム (C)Utsunomiya Museum of Art
石材・採掘道具と展覧会図録(表紙)
撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム
(C)Utsunomiya Museum of Art

判型はA4判、全160ページ(表紙周りを含む)で厚みは約18mm――まさに薄い石板を思わせるサイズを呈し、表紙・裏表紙・背には、大谷石の美しい肌理が印刷されています。それも「実物大」を意図したので、まずは図録と同じ大きさの「石」を、大谷石産業 田野町工場で切っていただきました。これをフォトグラファーの大洲大作氏が、光線を変えて何カットも撮影し、もっとも「大谷石らしい」ベスト・ショットを表紙周りや扉に使っています。

図録表紙のための大谷石実写より 撮影=大洲大作 photo (C)Daisaku Oozu
図録表紙のための大谷石実写より
撮影=大洲大作
photo (C)Daisaku Oozu

図録扉のための大谷石実写より 撮影=大洲大作 photo (C)Daisaku Oozu
図録扉のための大谷石実写より
撮影=大洲大作
photo (C)Daisaku Oozu

図録背のための大谷石実写より 撮影=大洲大作 photo (C)Daisaku Oozu
図録背のための大谷石実写より
撮影=大洲大作
photo (C)Daisaku Oozu

本文のレイアウトに於いては、広報物を含めて、全体のアート・ディレクションをお願いした勝井三雄氏、デザインを担当された大六野雄二氏による「かっちりとした文字組み」が、石切場の絶壁や坑内の柱を思わせ、非常に緻密なグラフィックが特徴です。あわせて、見開きの周囲を、やはり実写した「石の文様」で縁取り、これを章ごとに違えることで、変化と、ページを繰る楽しみを生み出しました。換言すると、どのページも「石」になっているのです。

図録pp.64-65「旧・帝国ホテル [ライト館]」の見開き デザイン:勝井三雄(勝井デザイン事務所)+大六野雄二(エッジ・デザインオフィス)
図録pp.64-65「旧・帝国ホテル [ライト館]」の見開き
デザイン:勝井三雄(勝井デザイン事務所)+大六野雄二(エッジ・デザインオフィス)

図録p.64(左上)とp.14(右下)に見る「石」の縁取り文様 デザイン:勝井三雄(勝井デザイン事務所)+大六野雄二(エッジ・デザインオフィス)
図録p.64(左上)とp.14(右下)に見る「石」の縁取り文様
デザイン:勝井三雄(勝井デザイン事務所)+大六野雄二(エッジ・デザインオフィス)

紙も、本文は「石」のような素材感のモンテシオン(四六判81.5kg)を選び、とりわけ「モノトーン」の染み込み具合は、大谷石の「ミソ」を彷彿とさせる仕上がりとなりました。それだけに、色校正は難易度が高く、かつ慎重を要し、山田写真製版所の優れた印刷技術によって、珠玉の「石の図録」が実現に導かれています。一方、表紙はミセスB-Fスーパーホワイト(四六判180kg)にマットPP加工を施しています。

ライトの柱と展覧会図録(表紙) 撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム (C)Utsunomiya Museum of Art
ライトの柱と展覧会図録(表紙)
撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム
(C)Utsunomiya Museum of Art

宇都宮美術館プロムナード・ギャラリーの大谷石と展覧会図録(裏表紙) 撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム (C)Utsunomiya Museum of Art
宇都宮美術館プロムナード・ギャラリーの大谷石と展覧会図録(裏表紙)
撮影=宇都宮美術館「石の街うつのみや」展 調査・撮影チーム
(C)Utsunomiya Museum of Art

ご来館の節は、どうぞお手に取ってじっくりとご覧のうえ、ミュージアム・ショップ

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でお求めください。宜しくお願い申し上げます。