今回は、展覧会の図録もまた、
「石」に捧げる「石」をかたどったもの
として制作したことを先の投稿で触れましたが、このことについて、少し詳しく紹介したいと思います。
判型はA4判、全160ページ(表紙周りを含む)で厚みは約18mm――まさに薄い石板を思わせるサイズを呈し、表紙・裏表紙・背には、大谷石の美しい肌理が印刷されています。それも「実物大」を意図したので、まずは図録と同じ大きさの「石」を、大谷石産業 田野町工場で切っていただきました。これをフォトグラファーの大洲大作氏が、光線を変えて何カットも撮影し、もっとも「大谷石らしい」ベスト・ショットを表紙周りや扉に使っています。
本文のレイアウトに於いては、広報物を含めて、全体のアート・ディレクションをお願いした勝井三雄氏、デザインを担当された大六野雄二氏による「かっちりとした文字組み」が、石切場の絶壁や坑内の柱を思わせ、非常に緻密なグラフィックが特徴です。あわせて、見開きの周囲を、やはり実写した「石の文様」で縁取り、これを章ごとに違えることで、変化と、ページを繰る楽しみを生み出しました。換言すると、どのページも「石」になっているのです。
紙も、本文は「石」のような素材感のモンテシオン(四六判81.5kg)を選び、とりわけ「モノトーン」の染み込み具合は、大谷石の「ミソ」を彷彿とさせる仕上がりとなりました。それだけに、色校正は難易度が高く、かつ慎重を要し、山田写真製版所の優れた印刷技術によって、珠玉の「石の図録」が実現に導かれています。一方、表紙はミセスB-Fスーパーホワイト(四六判180kg)にマットPP加工を施しています。
ご来館の節は、どうぞお手に取ってじっくりとご覧のうえ、ミュージアム・ショップ
http://u-moa.jp/shop_restrant/shop.html
でお求めください。宜しくお願い申し上げます。