作品解説倶楽部は、美術が大好きなボランティアによる、コレクション展でのギャラリートークをメインに活動しています。私たちはナビゲーターとして、作品を楽しく鑑賞するためのお手伝いをさせていただきます。
美術館では「ひそひそ声で話をしなければ注意されてしまう…」と、少し硬くなってしまいますよね。このギャラリートークの時間は、笑いあり、発見ありの活発な対話を大事にしています。感じたことや考えたことをどんどん声に出して、作品への理解を深めていきます。
それでは、お隣の群馬県出身の画家 山口薫(1907~68年)の作品《黒い顔》(1962年)を例に、ギャラリートークでの会話を一部紹介いたします。
山口薫《黒い顔》を前に、どんなトークをしようか研修中 |
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「この作品には何が描かれているでしょうか?」 |
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「正面から見た機関車かな?」 |
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「言われてみれば、黒くて丸いところがそう見えてきますね。」 |
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「この作品のタイトルは『黒い顔』なので、どうやら人物のようですよ。」 |
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「黒い顔?うーん…じゃあ男性かな。」 |
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「私は女の子に見えます。」 |
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「それはどうしてですか?」 |
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「顔が丸いし、頭にリボンが乗っているように見えます。」 |
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「なるほど!では女の子の顔を真っ黒に塗ってしまったのは何か意味がありそうですか?」 |
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「亡くなっちゃった女の子かな…」 |
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「でも笑っているようにも見えますよ。」 |
…作品を前に会話はどんどん広がっていきます。
「黒」と「少女」という一見するとアンバランスな組み合わせに、鑑賞者のみなさんはいろんなイメージを見出してくださいました。
憎しみや苦しみといったマイナスなイメージと、純粋・無垢な対象への強い憧れといったポジティブなイメージ両方の意見が飛び交い、鑑賞者同士のトークも盛り上がっていました。
また、「人じゃなくて機関車に見えるよ!」というユニークな感想もあり…解説をする度に、私たち自身も気がつかなかったような作品の見方や感想に驚かされます。
私たちの活動は、鑑賞者と作品を?ぐ手助けをするだけでなく、こんな風に私たち自身の更なる学びにも繋がっています。
美術に興味はあるけど、敷居が高そう、知識がないと恥をかきそうだな…
などと思っている方もいるでしょう。そんなことは全くありません!まずは気軽にギャラリートークを聴きに来てください。最初の一歩は参加することから。私たちはいつでもお待ちしています。
尚、作品解説倶楽部募集については、宇都宮美術館(tel. 028-643-0100)までお尋ねください。