さて宇都宮美術館が誇る傑作のひとつ、マグリットの《大家族》をご一緒に見て行きましょう。 | |
鳥と大家族ってどんな関係があるのかしら? | |
マグリットは「絵は題名の図解ではないし、題名は絵の説明ではない」という言葉を残しています。その言葉を受けて何か感じられますか? | |
えっ。私はいつも題名を読んでから絵に入るきっかけを探りますが? マグリットには否定されましたか。 |
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絵を見て「心を震わせてほしい」ということが画家の望むところではないでしょうか。そのための第一歩としてこの絵に描かれているモチーフを言葉にしていただけますか。 | |
曇り空、青空、海、光った水平線。 | |
わかり易いモチーフがたくさん描かれていますね。どれをとってもそれ自体は何の不思議も無いものですが、それが画面上でぶつかり「どこか変」と思われますね。そこから何かしら不思議な感覚、第六感とも言うべき感覚を味わいましたか。それこそマグリットミラクルなのです。 | |
この絵スーパーの看板みたい。 | |
それは!なかなかすばらしい視点ですね。マグリットは油絵だけでなく、今は使われていませんがサベナ航空のマークや広告、その他にもカジノの壁画などにもすばらしい仕事を残しています。それは人の目を捉える技に長けているともいえますね。《大家族》にもその才能は生かされているということでしょうか。それでは質問です。海面に鳥のうつりこみが見えてきましたか? | |
えーっ。 | |
見えた。見えたよ! | |
どこに? | |
海面が青空色に染まっている部分があるねー。 | |
となると曇り空のうつり込みは表現されているのでしょうか? | |
残り全部かな?マグリットにもっとよく見てって言われた気がします。 | |
確かにそうですね。左上にちょっとポイントありですよ。さて描かれた水面を見ながら水中にも思いを巡らしてみましょう。マグリットの仲間たちは水面下を潜在意識と捕らえていました。 | |
そうなると光っている水平線にも意味がありそうですね。 | |
絵との対話が始まりましたね。ではマグリットの言葉をもう一つ「眼に見え手で触れることの出来るものは、必然的に眼に見える別の何かを隠している」です。ヒントになりますか。 |
この後も絵とキャッチボールが続きます。球の落としどころをストレートにするかフォークボールにするのかはお客様次第です。是非「解説体験」をオススメいたします。
つづく